景気変動の根本原因は何か

関西大学総合情報学部 岩田年浩
景気変動の根本原因は何か

1 原因は供給にあるのか需要にあるのか

供給とする考え方
第一次産業革命後の初期資本主義や古典派経済学(つまり、有効需要が十分に育成されていない状態)。俗念。
需要とする考え方
ビッグビジネスと政府支出の役割を強調するケインズ政策の登場以後の経済学(需要が需給一致の主導性をもつことに対して、ビッグビジネスは独占価格を武器に需要に合わせた供給をはかる)

2 この需要の中の何かが変動の内的要因か

投資需要
利潤の獲得が動機(法制における私有財産制が基礎にあろから)のため変動幅が大きい。企業はマクロ的な安定を目標にはしていない
消費需要
変動幅は投資より穏やか(根本は生活にあるから)
政府支出
民間経済の補完的役割
純輸出
(原油国やロシアを除いて)内的要因ではない

3 では、投資は何によって反応するか
 予想利潤率と利子率の水準の比較
 実質賃金率(名目賃金/物価指数)
 為替レートや株価などをふくむ景気の動向
 これらは前期の市況として集約できる

4 投資にはどのようなものがあるか
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5 投資需要はどのように変動するか
 前期の市況は時間感覚でばらつきがある
ディ・トレーダーの株価感覚は数日か数週間
製造業の在庫調整は約3.5年
自動車産業は約5年
家電産業は約10年
ゼネコンなどの建築関係は約15年
設備投資の循環は約5~10年
景気一般の経済成長率の循環も約5~10年
技術革新と社会変動の長期波動は50年

6 投資行動はどのように定式化できるか
投資は(取引の事後的には)投資=貯蓄である(新古典学派)。
事前の計画投資は前期の市況をもとに投資量を上下に変動させる(ケインズ学派)。
前者には投資変動の観点が無いので、後者の立場で考えると、
今期の投資量=トレンドを示す均衡成長率×前期の投資量±前期の市況に基く変動分
この前期の市況に基く変動分は好況ならますますプラスの変動分が大きくなり、不況ならますますマイナスの変動分が大きくなる。つまり、不均衡が蓄積していく。これがバブルに形成と恐慌の正体である。

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この均衡成長率が追い越し上昇する上方への不均衡累積性と下へ向かう下方への不均衡累積性がある。景気が常に変動する根本原因はここにこそある。
 こうしたリアルな観点はJ.M.ケインズ、R.F.ハロッド、置塩信雄の研究系譜に連なる。
参考:富山大学経済学部大坂洋教授のサイトLinkIcon

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