2011.1.12 退職記念最終講義
私の経済学研究と教育
- 生い立ち
- 豊公の長男筋の山名家・一族の内訌・衰退・・近世を通じて備後で浅野家とつながり、 また和鉄の生産で大阪へ進出した
- 母と第二次大戦
- 父と岩田家の商い・・・チャンスを見逃さない企業家精神
- しかし、二つの家を背負う苦悩も
- 学生時代
- 中学・高校時代の挫折と左翼
- 結局、数理的マルクス経済学に向かう
- 自宅療養中の私への父のケインズ経済学の集中講義
この講義以降、各種の経済学派を学ぶことになった
- 経済学の主な諸学派
- 資本制批判のマルクス経済学・・・元は啓蒙思想の一派で、根本的には公平を理念としていたが・・・
- 資本制の枠内での近代理論・・・根本は共通して、効率を理念としている
- ケインズ経済学・・・市場の調整能力は不十分として政府の保護介入を主張
- マネタリズム(新自由主義)経済学・・・市場の調整能力は高いとして競争原理を主張
- 制度学派・・・個人の行動が制度によって規制されているという学説
- 経済学の果たす役割
- 経済学の目的は何を基準に市場経済は動いているのかという原理を明らかにすることにある
- 一般に、経済金融知識は市民にとって必要な経済知識の獲得にあり(経済学は悪質商法対策を含む日常生活のルール)、経営管理能力、国際化に対応できる能力などに不可欠。ところが、これまでの日本の学校教育では経済分野は社会科の中でも暗記的分野であり、内容的には弱かった。その根本原因は日本の経済と経営の国家依存体質が本来の市場経済社会とはかけはなれてきたということに求められる。
- 経済教育はもっと重視されてよい
- そして、経済学研究者の養成
- 求められるリアルな経済学
- 現実から出発し証明していく、実証的カオス経済分析の必要と音の発生の体験
- ・・・各種国際学会(New Kind of Science, Atlantic Economic Society ,Intel Economic Academy )での発表
- 各大学での経験
- 大阪経済法科大学・大阪教育大学・関西大学総合情報学部、そして次と職場は移る
- 外部評価等で伺った大学・・・京都大学経済学研究科・東北大学教育学研究科・静岡大学人文学部・富山大学経済学部・神戸学院大学・甲南女子大学・九州産業大学・中国の大学(重慶大学・安徽財貿学院・清華大学・大連理工大学・大連交通大学・延辺大学)
- 学生の席で中国語の特訓を半年間受けた体験(大連交通大学で)
- 教員にとってメッセージが伝わらなければどうにもならない。学生諸君に何をどのように、どこまで伝えるか・・・ホームページで全国の大学教員のためのコンサルタントルームを開いてきた経験と全国講演560回の経験から
- 現代日本の大学生の変容
- 学生の教員評価は授業の効果を高める宝の山
- 教育を軽視する日本の大学教員の体質
- 情報機器の活用の必要とその落とし穴・・独自の授業支援プログラムを開発・実践
- 学生がどこで間違った理解をするかを詳細に把握する必要がある
- ・・・昔は質問カード(今はメールでの)整理と回答準備の効果
経済知識を生かす
- 関心を広げ(関心が少なく、知的情報の少ない者がコピーペイストに走る)、異質のものを結び付けること
- 経営学と関連させて経済学を生かすこと
- 偏差値社会の克服へ
- 若者が未来を奪われてはならない・・・世のため人のために生き抜ける、自立した人格の形成こそ経済教育の目標
- 合理的な自分の作戦を立てて実行する、自分を高める、モチベーションを絶やさない
- 持豊公の金言
- 先例にのっとることばかりを強調する公家に対して「これよりは時という字を根本に据えるべし」(中世の『塵塚物語』より)
- ・・・時に、変わり身も大切、そして、常に和戦両様の覚悟を
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- 最終講義スライド
講義で使用したスライドがご覧頂けます。