2011.10.20更新

東日本大震災と日本経済に関する情報メモ

この報告は東日本大震災の直後から今日までの各新聞・雑誌・書籍・ネット上のニュースや諸論調を収集し整理したものです。

image045.jpg
image013.jpg
image011.jpg
image041.jpg
image044.jpg

目次

1 現れた日本社会の脆弱性 
2 原発をめぐる人と金
3 原子力発電の問題
4 萎縮が悪循環を生む現状から建設へ
5 現地(いわき市、石巻市と仙台市)での取材から
6 大災害時の法律の課題

<震災と保険>
7 今こそ専門家は情報発信を

<何が論点になっているのか>
<短絡や事実誤認・誤解のいくつか>

現れた日本社会の脆弱性
  • 死者1万5829人・行方不明者3692人 10-31 警察庁発表
  • 父か母が死亡または行方不明となった震災遺児は三県で1295人、両親と も失った孤児は236人 9/16

    負傷者 5393人  建物被害 35万3378戸
    使用不能漁船数(岩手5726・宮城12870・福島873)19469隻 
    仮設住宅 4万6790戸
    9/22の全国への避難者数は7万3240人(6/2は12万4594人)政府対策本部発表
    瓦礫 約2063万トン
    原子力発電所事故による避難8万1281人(7/14福島県まとめ)
    震災後に岩手・宮城・福島の3県から県外へ住民票を移した人は約8万3千人 9/15
    放射性物質の除染地域は福島県全体の14%・・・東京大学森口祐一教授

  •  地震予知がなかったことについての批判があるが、「すべてが科学技術で解明できる」「克服できる」という過信のまん延していることによる

    ・・・明らかになっていないことの方がはるかに多いのが科学の世界の現実
    ・・・しかし、北海道大学の日置幸介教授はこの大震災の40分前に上空300キロの電離層
      で電子量が急増したことを発見した。これはチリ地震やスマトラ沖地震にも共通した
      現象。6/4

  • 東日本大震災で記録されたマグニチュード(M)9級の巨大地震が東北沖で約440年おきに起きるとの試算を、東京大地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授(応用
  • 地震学)のチームがまとめた。約37年おきに発生するM7級の宮城県沖地震などとともに、巨大地震を繰り返す長い周期(スーパーサイクル)があるという 10/10
  • 当初から、肝心な情報が政府に入っていなかった(米軍-グローバルホークと無人偵察機による直後の情報をふくめて-・東電・保安院から)
  • 情報はすべてを明らかにすればベストではないが・・・特に3月15日をピークとする大気への放射性物質の放出と汚染に関する情報は少なすぎて遅すぎた
  • 官僚機構を活用できない政治主導の政治の危うさ
  • 国際投機筋は震災直後の混乱期に日本株先物に大規模な売りを仕掛けて、マージンを得た
  • 経済成長率の落ち込みは戦後最悪へ向かっている
  • 被災地域での倒産は90日で100件を超えた(阪神大震災では180日で100件)
  • 震災関連の不況型の倒産は341件(9/14 帝国データバンク)・阪神大震災の2.8倍
  • 東証一部上場企業の特別損失は4兆3600億円
  • 今年夏の電力不足で雇用は12万人減に(この夏に供給能力が需要を上まわるのは中国電力だけ)・・・電力不足は冬も検査入りする原発が出てくるため、この夏にとどまらず今後も全国的に慢性化する。それが再び原発容認の世論になる可能性があるだろう
  • 全国の原発による発電は約29%(ほか火力62%・自然エネルギー1%)だが、関西電力では約55%を原発に頼っている
  • 原発は発電コストが安いという効率性偏重の問題を克服する必要がある。LNGによる火力発電に頼らざるを得ない事態が近い
  • 電力不安は日本の空洞化を招く
  • 「日本でモノづくりを続けることに限界」・・・トヨタ小澤副社長
  • 小泉改革以後の競争原理の下で東北地方の中小ゼネコンのかなりは姿を消している

    ・・・土木機械の不足

  • 実業の世界では2008年秋のリーマンショック(リスクの高いサブプライムローンを組み込んだ金融商品にトリプルAの欺瞞の格付けをしてあおった)と同様にリスクを過小評価するという共通点がある・・・金融工学も原発も
  • 株安・円高・世界の金融停滞・電力不足・政界の混迷の中にある
  • なぜ円高か・・・資金を円で保有したいこと(手元流動性の確保)が激しい円高の原因。一時は1ドル=70円台に(阪神大震災と同じ)・・・ここには、巨額の貿易赤字を垂れ流してきたアメリカ経済の貿易収支改善の要求がある。アメリカ政府はドル安でアメリカの赤字を減らし、日本や中国は黒字を減らす均衡化への「望ましい方向への再調整」と強調している 9/1フレッド・バーグステン氏(ピーターソン国際経済研究所長)
  • 円高は輸入価格を下げるメリットがあるが、国際的な資源高は著しくメリットを相殺してしまっている。9月の国際商品市況は1年前と比べて、原油約20%、トウモロコシ約30%、コーヒー約40%高・・・中国やインドの経済成長による需要増と投機マネーの流入が原因・・・しかし、地球に埋蔵されている原油は後46年、天然ガスは後60年
  • 復興需要で景気の回復か不況の深まりか
  • いったい震災の被害額はいくらなのか。直接的に破壊された金額は内閣府のいう25兆円だが、二次的に波及した生産被害は別にある。なお、東北3県の県民所得の合計は全国の4%
  • 野田首相の下での第三次補正予算約10兆円のうち被災地の自治体が自由に使える一括の復興交付金は2.7兆円 9/10
  • 被災地で発生している消費者問題・・・当初のガソリン不足から契約問題・盗難問題へ、さらに生活再建問題へ               
  • 政府もマスコミも学者も震災の現場・原発の現場から出発すべき
  • 管首相のミスで最も大きいのは福島原発周辺での累積被爆線量の発表が遅れ、周辺からの避難指示が遅れたこと(妊婦や小児への影響が著しく懸念される状態)・・・慶応大学深尾光洋教授
  • 空手形を乱発した管首相(太陽光パネルを1000万戸など)    
  • ・・・なぜ民主党管政権への批判が強いかという理由は(政治家に対して仕事量ではるかに勝る)官僚のデータに基づく正確な資料や情報やチェックに基づかずに素人の人気取で政策を出すばかりだったから。だから、。ポピュリズムとの批判がある。しかし時々、原発問題では本音をもらす
  • 他国への原発輸出は首相は反対で海江田経済産業大臣は賛成という矛盾があった
  • 「木を見て、森を見ない」管政権の軽さ
  • 結局、キャッチフレーズばかりで何を何時までに、財源の裏付けを明示して、どのような方法で実行するかを明示できなかったことに根本的な問題があった
  • 他の政党の内閣でうまく対応できたかどうかは疑問
  • 将になる器を欠く日本
  • 民主党への政権交代直前から原発推進の世論が形成。危機管理の問題も同様
  • さらに、電力10社+経済産業省と管首相の間で自然エネルギーの(電力会社に依存しない民間企業の競争参加で行うという、ヨーロッパでは行われている)新たな方法を認めないか認めるかの水面下での暗闘がなされている。
  • 宮城県の有力紙『河北新報』が発表した、宮城県沿岸部の被災世帯を対象にした震災後6カ月のアンケート調査では、無収入や減収になった世帯は6割を超し、自宅再建の見通しがない世帯は7割にのぼっている。




日本経済のデータ
  ストック面・・・対外資産は270兆円
  国の資産は8000兆円
  フロー面 ・・・GDP500兆円
  国と地方の借金は1300兆円(内、国は900兆円)
  ここで、消費税を上げる根拠はどこにあるのか
  各国のGDP (IMF 2010年末の数値)
  世界全体  62.9 兆ドル

EU
16.2
アメリカ
14.6
中国
5.8
日本
5.4
ドイツ
3.3
フランス
2.5
イギリス
2.2
ブラジル
2.0
イタリア
2.0
インド
1.5
ロシア
1.4
韓国
1.0
台湾
0.4
ギリシア
0.3
原発をめぐる人と金
  • 業界と結び付く学者たち・・製造、製薬、金融、保険、タクシー業界の多く
  • 学者・・・郵政、原発(東大・東工大がほとんど)などを中心に進み、原子力発電に批判的な人たちは少なかった
  • 学問の世界にも押し寄せた競争原理は研究費獲得競争を激化させた
  • 学校の現場に浸透した原発教育・・・全国の学校に配布されてきた副読本は小学校用が「わくわく原子力ランド」、中学校用が「チャレンジ!原子力ワールド」

    しかし、実際にはそれほど使用されてはいない(私の調査から)
    原発教育に文部科学省と資源エネルギー庁がつぎ込んだお金は毎年約10億円

  • 日本エネルギー環境教育学会がある。役員には人気事業連合会の広報部長が名を連ねている
  • 日本の義務教育では、原発や被爆について全く取り上げられてこなかった・・・やっと、2011年度から学習指導要領で放射線について指導することが決められた
  • 小中高校生たちの素朴な疑問に答えることが大切。それができていない。この沈黙の謎は何なのか

    「原発事故の対策はなぜ不十分だったの」
    「福島の原発事故は解決できるの」
    「被災者や原発での避難者への補償はできるの」
    「原発は急に止められるの」
    「日本は沈没してしまうの」
    それができていない。この沈黙の謎は何なのか。そして、若い人たちへは他人事ではない教育
    や恐怖や政治不信で落着するような教育でないことが必要

  • むしろ、次の川柳が当をえている「想定外、想定すれば想定内」朝日川柳6/21

    福島県の小中学校生の内1万3000人が県内外へ避難 (7/31)

  • 民主党は2009年の政権交代の前に原発推進へと方向を変えていた

    労働組合の連合もしかり

  • 電力会社はマスコミもコントロールしようとしてきた
  • 電力会社へ天下りする経済産業省の官僚たち
  • 原発関連業界とは原子炉の製造、発電機、燃料、土建、プラント、資材、ウラン調達、保守等の多分野にわたる
  • 2011.7.1現在の福島県の放射能汚染は第一原発のある双葉町と第二原発のある浪江町を中心に、534か所へ15783人になっている
  • 東京電力の賠償は「原子力賠償法」をもとに、(天災か人災かの判断の上に)賠償機構を作ることになろう・・・政府からの交付国債、銀行からの融資、各電力会社の負担金、現東京電力からの長期返済で
  • 日本経済研究センターの試算(5/31)では福島第一原発の廃炉と補償費は10年間で、5兆7千億円から20兆円かかる
  • 原子炉の廃炉はスリーマイル島の事故処理のように、圧力容器に水を張って冷却する方法があるが福島第一原発の場合は圧力容器そのものが破壊されているため今後も困難を極めることになる
  • 茨城・千葉・東京で発生した液状化と噴砂は今後首都圏の工業地帯の破滅につながるが、対策は全くなされていない
  •  IAEA(国際原子力機関)の調査団は6月1日、原発を推進する資源エネルギー庁と原発を規制する役割の原子力安全・保安院が同じ経済産業省に所属していることを批判し、規制当局は独立性をもつべきとした
  • 8月4日、浜岡原発をめぐる原発賛成の故意の世論形成(“やらせ問題”)に関係したとして、経済産業省の松永和夫事務次官、寺坂信昭同省原子力安全・保安院長、細野哲弘同省資源エネルギー庁長官が更迭された
  • 管前首相の後日談。3月12日に福島第1原発1号機で起きた水素爆発について、「格納容器内に窒素を充填(じゅうてん)しているから水素爆発は起きない」との説明を東電や原子力安全委員会から受けていたことを明らかにした。また、同15日に東電の清水正孝社長(当時)が海江田万里経済産業相(同)を介して第1原発から撤退する意向を伝えてきたため、「とんでもない話だ」と危機感を持ち、政府と東電の対策統合本部の設置を決めたと振り返った
  • 震災後の地価は全国平均で3.4%下落。西日本の商業地は持ち直し傾向にあるが、東日本では下落基調が強まっている 9/21日経
  • 東日本大震災の被災地で、復興計画の策定を進めている市町村のうち、策定済みなのは17%にとどまる。岩手、宮城、福島の3県によると、復興計画の策定を進めるのは計59市町村。すでに策定したのは、岩手で久慈市など4市町村、宮城で女川町や気仙沼市など5市町、福島は相馬市だけで、計10市町村 10/10 読売
  • 9/30野田政権は緊急時避難準備区域(半径20~30キロ圏)で年間放射線量が20ミリシーベルト以下の地域を解除した
  • (人)福島原発の所長 吉田昌郎氏

       スポークスマンの原子力安全保安院審議官 西山英彦氏から森山善範氏へ
       原子力安全委員会委員長 斑目春樹氏
       東京電力の勝俣恒久会長、清水正孝社長
       関西電力の八木誠社長
       元東電の副社長で前参議院議員の加納時男氏
       復興構想会議の議長で防衛大学校校長 五百旗頭真氏
       福島県知事の佐藤雄平氏
       元福島県知事で原発に疑念を表明していた(小泉改革にも反対した保守系の)佐藤
       栄佐久氏
       (政府が放射能の安全基準を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げたこと
       に抗議した)東京大学教授の小佐古敏荘教授
       政府の復興構想会議の委員で関西大学社会安全学部長の河田恵昭・・・同氏の
       『津波災害』(岩波新書2010.12)は災害における社会科学の重要性を力説していた。
       県主導の復興計画を進める宮城県知事の村井嘉浩氏
       地震津波と原発で指揮をとる福島県知事の佐藤雄平氏
       市町村の要望を重視した復興を進める岩手県知事の達増拓也氏
       福島県の被災者を快く受け入れた、新潟県知事のは泉田裕彦氏
       第一原発の立地、管政権を厳しく批判した福島県南相馬市長の桜井勝延氏

  • (諸外国からの支援等)

    アメリカは「トモダチ作戦」として、2万人の兵士・感染19隻・航空機140機を投入
    1月に反政府デモが政権を打倒したチュニジア
    朝鮮民主主義人民共和国
    中国は15人(解放軍の兵士ばかり100人の派遣要請に日本の抵抗感があった)
    昨年の大地震で31万人の犠牲者が出たハイチ
    タリバンとの戦闘が続くアフガニスタンのカンダバル市
    しかし、外国人の脱出パニックの裏には海外のマスコミのセンセーショナルな
    恐怖を煽る動きもあった
    (新聞社-全国紙-の勢力配置-販売部数-)2011.9現在
      全国紙             ブロック紙
      読売 995           北海道      116
      朝日 770           中日・東京    335
      毎日 347           西日本 84
      日経 301
      産経 165

     被災3県の地方紙(10万部以上のみ記入)
      岩手県: 岩手日報23.2、岩手日日、胆江日日、東海新報、
      宮城県: 河北新報50.5、三陸河北新報
      福島県: 福島民報30.2、福島民友19.7、いわき民報


原子力発電の問題


ScreenHunter_01 Oct. 24 05.50.gif

  • キロワット時当たりの水力発電のコストは11.9円、石油火力が10.7円、石炭火力が6.2円、天然ガス火力が5.7円、原子力は5.3円・・・電気事業連合会のパンフレット「原子力コンセンサス」2004による
  • 原子力関連の政府予算(概算要求額)は4556億円
  • 原子炉を1基作るのに3000億円
  • 初代の原子力委員会の委員長は元読売新聞社主の正力松太郎氏
  •    ・・・1955年の原発導入期に初めて派遣した海外調査団の報告書に各国で集団指導の原子力委員会が形成されているかのような事実と異なる内容が記載されていた(7/17報道)
  • 読売と東大人脈を柱にした国策としての原発
  • 福島県に交付された金は年間1400億円(しかし、南三陸町のように原発補助金を受け取ってこなかった自治体もある)
  • 日本の電力会社は10社、(点検中、停止中をふくむ)原発は53基
  • 日本の電力使用量・・・冬は4100万キロワット、夏は6000万キロワット、
  • 関西電力の福井県の原発で放射能事故が生じると近畿の飲料水の源の琵琶湖の汚染が問題となる
  • 8/30の東京電力の発表では、原子炉を水没させて燃料棒を取り出す方法もありうるとしているが、この方法で10年かかる
  • 電気事業連合会の見積もりでは原発の廃炉費用は1基当たり550億円
  • 耐用年数が過ぎた原発は10基ある
  • 原発の事故に対応できるロボットの開発に30億円がかけられたが、実用化せず
  • 47都道府県知事の内、原発の廃止や縮小をほ求める知事は11知事で、福井県(全国最多の15を抱える)の西川一誠知事の「国の安全基準は不十分であり、停止中の原発の再稼働を認めない」の見解への賛成は25知事が賛成している(朝日6/16)
  • 管首相の7/6の自然エネルギー推進の発言に対して財界は(すぐには実現できないことを出来るかのように言うべきではないと)猛反発した。ソフトバンクの孫正義社長と橋下徹大阪府知事は賛成した
  • この大きな問題の論点は人間社会の安全性に力点を置くか経済力を衰えさせてはならない点に力点を置くかにある。現実には不安な原発の安全性に力を入れつつ、自然エネルギーによる発電を早急に広げていく他ない
  • 東京電力は福島第1・第2原発近くの5断層について、「耐震設計上考慮すべき活断層である可能性が否定できない」と新たに評価したことを発表した。両原発近くで活動しないと考えられていた「湯ノ岳断層」(福島県いわき市)が東日本大震災の余震でずれ、経済産業省原子力安全・保安院が電力各社に同様のケースの調査を指示していた 8/30
  • チェルノブイリの事故での汚染地域は14.5万平方キロメートル、福島では0.8平方キロメートル・・・この違いは福島第一原発でも原子炉はつぶれたが、密封性を完全に失わなかったために放出量が抑えられたことによる
  •  東京電力福島第1原発事故の原因究明と検証を行う事故調査委員会を国会に設置するための関連法が、30日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。委員会は半年後をめどに報告書を衆参両院議長に提出する 9/30
  •  東京電力福島第一原子力発電所では、2号機の原子炉周辺の温度が事故発生以来初めて100度を下回った。これで、1号機から3号機の原子炉の周辺温度がすべて100度を下回ったことになるが、東京電力が目指す「冷温停止」の状態には、まだ、冷却のシステムを安定させることなどが必要。原子炉の温度が安定して100度を下回る「冷温停止」の状態に向けて冷却作業が続けられている 9/30
  •  復興特区法案は221市町村に対して、道路や学校などの社会資本整備を中心にした40事業に使える復興交付金を交付するという内容。この復興交付金は2011年度の第3次補正予算に約1.9兆円 10/1
  •  東電の資産査定を行う政府の「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)は3日、野田佳彦首相に報告書を提出した。東電が支払う損害賠償額は13年3月末までで4兆5402億円に上ると試算。支払いの原資を確保するため、10年間で2兆5455億円のコストを削減し、3年以内に7074億円の資産売却が必要と結論付けた 毎日10/3

無題.png

震災と原発の知識
  • 日本の国土は全世界の0.25%の面積にしかすぎないが、地震の発生率は10%にのぼる
  • 日本列島の活断層は110か所

    日本を取り巻く自然災害は地震・津波・台風・火山の噴火と多い

  • 「マグニチュード」は、地震そのものの大きさ(規模)を「震度」は地震が起きた時の揺れの強さを表す
  • マグニチュード9とは・・・M7(阪神大震災はМ7.2)を1とすると今回のM8はその30倍、M9はその1000倍
  • プレートの厚さは約100メートル、地球全体は14枚のプレートで覆われている。日
  • 本列島を取り巻くのはそのうち4枚
  • ウラン235の1グラムのエネルギーは石炭なら3トン、石油なら2000リットルに相当
  • ”放射性物質”とは、放射線を放出してより安定な物質(原子核)に崩壊する(不安定な)物質のことです。よって、放射性というのは、放射線を出す性質を持っているという意味です
  • 我々の身のまわりには安定な物質(水素2や酸素16など)がほとんどで有意な放射線を放出するような物質はほとんどありません(=不安定でなければ放射線を出すこともありません)。
  • 物質(原子核)に放射線を出す性質が備わっていることを放射能と言います。
  • 放射線には、アルファ線、ベータ線、ガンマ線やX線…があります。ここでとくにガンマ線やX線はこれまた報道などでおなじみの電磁波です。こういった放射線を放出して過剰に蓄えられたエネルギーを放出することで、不安定な物質が安定な物質へと時間をかけて変化していく
  • 原子炉内部の放射性物質を含む蒸気を外部に逃す「ベント(排気)」という作業が大切
  • 過去の日本史上の巨大地震と大津波は平安時代の貞観11年の「貞観(じょうがん)大地震」・・・この年に祇園祭は(疫病退散を願って)始まっている
  • 北海道大学の平川一臣教授は気仙沼市の崖の地層の砂や石の層を分析した結果、三陸地方には6千年に六回の大津波が発生していたことを発見した 8/22・・・このことからも今世紀の日本は千年に一度の地震活動期に入ったといわれている
  • 『広辞苑』によれば地震の古語は「なゐ」という。これは「地」を意味した。後には地震を「なゐふる」(「ふる」は震の意味)。津波は「強波」からきたもの
  • 北日本城郭検討会の発表では、江戸時代に伝統的工法で修復された石垣は比較的被害が少なく、近代以降に西洋の工法で修復された石垣の被害が大きい 8/22
  • 原発は冷却の必要から海岸沿いに建つ。全国18か所に54基ある
  • 日本の原子力発電は全発電量の29.2%
  • 核燃料サイクル(ウランからプルトニウムの再利用)
  • レベル7とはチェルノブイリ(320テラベクレルで広島の原爆の400倍)と同じレベルだが福島はその10分の1
  • 放射能にはアルファ線・ベータ線・ガンマ線・エックス線・中性子線等がある
  • ベクレルとは放射能の強さ(1秒間に原子核が崩壊する数)・・・フランスの物理学
  • 者アンリ=ベクレル(1852年12月15日 - 1908年8月25日)に由来する
  • シーベルトとは生体への被曝の大きさ・・・スウェーデンの物理学者ロルフ=シーベルト(1896年5月6日 - 1966年10月3日)に由来する
  • 原子炉内の燃料棒は約400~1500本ある
  • ヨウ素は甲状腺癌を生じる、ストロンチウムは骨癌を生じる・・・子供は大人の2~3倍の発生率
  • 原子力安全保安院とは経済産業省の中にある電力会社の監督組織800名勤務、原子力安全委員会はその目付役で100名勤務。。管内閣のもとで、原子力安全・保安院を経済産業省から 切り離し、環境省の外局として「原子力安全庁」を設置する方針が決まった(8/3)
  • 現在は炉心溶融(メルトダウン)の危険の事態が続く
  • 1999年に旧原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)は「地震による炉心損傷を伴う事故の発生原因の66%は外部電源の喪失にある」と指摘していた
  • 各地の大気中の放射線量(1時間当たりのマイクロシーベルト、3月15日)福島県
  • 23.18、茨城県5.57、埼玉県1.222、東京都0.80神奈川県0.25
  • 放射線から身を守る上で大切なことはぬれマスクをすること窓を閉めて換気しないこと
  • 原発の建設を認める市町村への電源三法による交付金は建設後の5年でまとまって出される。約20年で打ち切られるため、プラントの設置はさらに認められざるをえない
  • 福島第一と第二原発にある浜通りの双葉町・大熊町・富岡町・楢葉町への交付金は年間56億円
  • 再生可能エネルギー(、英語:renewable energy)とは 自然界で起こっている現象から取り出すことができ、一度利用しても再生可能な、枯渇 することのないエネルギー資源で自然エネルギーと同義
  • 東京電力・東北電力・北海道電力の周波数は50ヘルツに対してそれ以外の電力会社は60ヘルツとなっている(明治期に輸入した発電機がドイツ製かアメリカ製かに由来する)、両者を返還する無周波数変換所は浜松市ほか3か所あるが、変換は計103万キロワット
  • 三陸とは、陸前(今の宮城県)、陸中(岩手県)、陸奥むつ(青森県と秋田県の一部)
  • 福島県では8月の下旬に入って早場米(「瑞穂黄金」など)の収穫が始まった・・
  • 地元では線量検査を強めているが、風評被害が懸念されるとのこと
  • 避難指示とは災害対策基本法第60条では「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるとき」でかつ避難勧告よりも緊急度が高い場合にすることができる。ただし、日本には避難命令は制度的にない
  • 避難区域は次の四つに分類される。

    「警戒区域」福島第一原発から半径20キロ圏内で立ち入り禁止。7万8千人
    「緊急時避難準備区域」20~30キロ圏内で「計画的避難区域」を除くほとんどの地域。
    5万9千人
    「計画的避難区域」警戒区域の外で年間積算放射線量が20ミリシーベルトを超えそうな地域で
    避難が進んでいる。1万人
    「特定避難勧奨地点」各避難区域の外で、年間積算放射線量が20ミリシーベルトを超えそうな
    場所を住居単位で指定し、自治体が避難を支援。113世帯

  • 経済産業省の原子力安全・保安院が原子力関連のシンポジウムで電力会社に「やらせ質問」を要請していた問題は2005年以来7件  10/1読売
  • 日本の原発は18ヵ所に54基
  • アメリカの原発は104基で、すべての電気の約20%を賄う
  • EU内では14カ国に143基の原発
  • 2008年5月12日の中国四川大地震はマグニチュード8.0。死者8万7476人、行方不明者1万8222人、倒壊家屋21万6千棟

無題2.png

萎縮が悪循環を生む現状から建設へ
  • 消える前のロウソクはボッと燃えるが、日本と日本人の権威は必ずや回復しなければならない
  • 特に打撃が大きいのは、電力業界・保険業界・地域の金融機関・鉄道・自動車産業・電気機械産業・・・政府のテコ入れが必要
  •  危機はどのように形成されるか・・・慢性的な電力不足は生産量を減少させる(特に、半導体の生産には24時間の電力供給が必要)。輸出産業に打撃。火力発電用の液化天然ガスや石油の輸入増加もあり、国際収支の悪化(経常収支の黒字額が4、5、6月と3カ月連続で半減している)。こういう事態はCO2の増加と円安への作用をもつが、雇用の減少と電力料金の値上げによって国民所得を減少させ、消費を減少させることになる。この連鎖を断ち切る経済対策が求められる
  • 現状で増税の提議は誤っている
  • 被災地の人たちの救援の根本は人権問題
  • ムダを止めることは必要なこと・・・今までは豊富に慣れてきた問題
  • 個人が無理をして金を使えばいいものではない。ましてや無駄金を使えばいいものではない。
  • 単に元へもどす復旧が求められているのではない(村社会-それは我慢と地域セクト性で支えられてきた面もある-再生させることか)抜本的な再建計画の実行かで揺れがある。
  • 風評被害を防ぐには科学的根拠を示す必要がある。現実には福島県小名浜港で水揚げされたカツオは(放射性物質は検出されなかったが)1キロ当たり100円と他港と比べて3分の1の値段 9/6
  • 危機対策を大規模にそして綿密にすべき

       ・・・ビジョンが描けないままで不満の鬱積

  • イタリアでは6月12日から行われた、原子力発電の是非を問う国民投票で90%を超える国民が反対した
  • 東京一極集中の危険(省庁分散型のドイツの例に学ぶ)
  • 非常時には大統領に重大権限、選挙もしないことになっているフランスの危機管理に学ぶ
  • ヨーロッパでは電力の自由化が進んでいる
  • 太陽光発電はたとえば関西電力が昨年10月に大阪府堺市で国内最大の6千キロワットの発電を開始したが、現在の関電の原発11基分の発電をするには堺の1千倍以上の土地が必要になる
  • 日本の政治・外交・経済の敗北感は根深い・・・ナショナリズムの消沈
  • IAEA(国際原子力機関)の報告書にもあるが、「原発のコストを明らかにし、原発のあり方を国民的に議論すべき」ところに来ている 
  • 少々の批判的な意見に耳を傾ける度量のあるトップが国政や各政党、企業に求められる
  • これで5年間で5人の総理の交代・・・本当の将になる器(「将器」という)がいないのか
  • 持続的に経済が展開する価値観への変化を

ScreenHunter_02 Aug. 06 05.54.gif

  • 今回のことは日本が自然災害に対応できなかった、負けたということであり、これを認めて進むべきであろう
  • そして、原発の不安は大きいが、それに代わる自然エネルギー(または持続可能なエネルギー)での発電へ切り替えることはすぐには出来ないというのが現実である。従って、原発に賛成か反対かの論調の差は自然エネルギーでの発電への転換の速さ(時間)の差として結果せざるをえないことになろう
  •  しかし、自然エネルギーへの需要が高まっていく中でビジネスライクに競争や電力への参入は広がらざるを得ない背景もある。たとえば、川や用水路で水の流れをせき止めずに電気を起こす発電も登場している 9/10
現地(9月12日いわき市、6月15日16日石巻市と仙台市)での取材から
いわき市  9月12日
9月12日原発事故で苦しむ福島県の浜通りと呼ばれる海岸沿いの一帯へ向かった。「警戒区域」の南端にあり、立ち入り禁止になっている、広野町への入口では30人ほどの武装した警察官が物々しく入口をふさいでいた。その様子が問題の深刻さを表すかのようだった。近くの富岡町に有る東京電力福島第二原発で働くのは、現在東京電力、東芝、日立の関係者だけで4000人を越えており、近くのホテルはすべてうまっていた。知らなかった。身体を張って働く多くの人たちがこんなにもいることに感激した。彼らの支えは汚染地域の広さがチェルノブイリの18分の1で抑えられている大きな要因の一つであろう。
その広野町の人口は地震以前は約5500人だったが、町全域が「緊急時避難準備区域」に指定されているためほとんどの町民はいわき市他へ避難している。学校は「区域外就学となり、広野小学校はいわき市立中央台南小学校の一部を借り、65名が通学している。広野中学校についても、10月3日からいわき市立湯本第二中学で再開している。子供たちは暑い中でもマスクを着けていた。町の人たちは、公的な仕事などで今住むのは300人、役場の職員は2人が支所に残って業務をこなしているそのいわき市でも、公園は草ばかりで誰も遊んではいなかった。
放射線を測る線量計は小学生は学校から配られ、それを首にぶら下げているが、市民は一般にテレビや新聞に掲載される線量の数字をよく見ている。事故発生から現在までは二つの原発の北西方向に放射線量の高い地域が広がっているが、冬になると南西部の占領が高くなるのではないかと噂されている。
地元紙の『夕刊いわき民報』社を訪れた。最近は国や県とともに除染をどう進めるかが主な関心事になっている。問われたので、今回の取材のような視察のような訪問の目的は関西の経済人や学生諸君にこの実態を伝えることにあると答えると、是非よろしく頼むと真剣な眼で言われた。
それでも、ほとんどの人たちは何とかこの地の高台等にでも住みたいと願う人もいるし、完全に他府県や県内の放射線量の低い所へ引っ越す人もいる。何らかの形で自立できるか、できないかが迫られる状態になっている。
石巻や仙台と違うのは、この市の「復興ビジョン」五つの理念の中に「原子力災害を克服するとともに、再生可能エネルギーの導入を推進し。原子力発電に依存しない社会を目指す復興」が掲げられていることだった。いわき市役所で聞くと、この浜通りでの避難した各町の人たちのほとんどはいわき市に避難して住みたいという。雪の降らない気候や文化が共通するからだということだった。そこで、好間(よしま)地区の仮設住宅へ向かった。工業団地として整備中の一帯を他の町からの避難者の仮設住宅地にしたという。いわき市には双葉郡の8の町村(双葉町・広野町・浪江町・葛尾村・大熊町・富岡町・川内村・楢葉町)から14383人がいわき市へ避難している。住まいは仮設住宅のほか、雇用促進住宅や民間の借り上げ住宅がある。近くにはコンビニやスーパーもあり、暮らしやすい方だがここで生きていくには(避難所と違って)自分のお金がいる。暑いので、人は外には出ていなかった。
『福島民友』というその日の紙面によれば、仮設住宅の人たちの90%が住居の目途が立たないと答えている。仮設住宅の期限は二年だが、これを数年伸ばしたところで、自立できない人たちも多いことだろう。あの日から苦悩は果てない。
地元紙が共通して評価するのは、この激変の中ではインターネットの書き込みよりも、新聞の情報は信頼できたという日本新聞協会の発表した代表標語の「上を向く力をくれた記事がある」だった。
JRいわき駅前.JPGJRいわき駅前
いわき市の中心街の児童公園には子供たちはいない.JPGいわき市の中心街の児童公園には子供たちはいない
いわき市好間地区の仮設住宅.JPGいわき市好間地区の仮設住宅
警戒区域への道は物々しく警備されている.JPG警戒区域への道は物々しく警備されている
公園は草ばかり.JPG公園は草ばかり
好間地区の仮設住宅は建ったばかり.JPG好間地区の仮設住宅は建ったばかり
福島産の魚の価格低下.JPG福島産の魚の価格低下
放射性物質の除染をどう進めるか.JPG放射性物質の除染をどう進めるか
いわき市  9月12日
9月12日原発事故で苦しむ福島県の浜通りと呼ばれる海岸沿いの一帯へ向かった。「警戒区域」の南端にあり、立ち入り禁止になっている、広野町への入口では30人ほどの武装した警察官が物々しく入口をふさいでいた。その様子が問題の深刻さを表すかのようだった。近くの富岡町に有る東京電力福島第二原発で働くのは、現在東京電力、東芝、日立の関係者だけで4000人を越えており、近くのホテルはすべてうまっていた。知らなかった。身体を張って働く多くの人たちがこんなにもいることに感激した。彼らの支えは汚染地域の広さがチェルノブイリの18分の1で抑えられている大きな要因の一つであろう。
その広野町の人口は地震以前は約5500人だったが、町全域が「緊急時避難準備区域」に指定されているためほとんどの町民はいわき市他へ避難している。学校は「区域外就学となり、広野小学校はいわき市立中央台南小学校の一部を借り、65名が通学している。広野中学校についても、10月3日からいわき市立湯本第二中学で再開している。子供たちは暑い中でもマスクを着けていた。町の人たちは、公的な仕事などで今住むのは300人、役場の職員は2人が支所に残って業務をこなしているそのいわき市でも、公園は草ばかりで誰も遊んではいなかった。
放射線を測る線量計は小学生は学校から配られ、それを首にぶら下げているが、市民は一般にテレビや新聞に掲載される線量の数字をよく見ている。事故発生から現在までは二つの原発の北西方向に放射線量の高い地域が広がっているが、冬になると南西部の占領が高くなるのではないかと噂されている。
地元紙の『夕刊いわき民報』社を訪れた。最近は国や県とともに除染をどう進めるかが主な関心事になっている。問われたので、今回の取材のような視察のような訪問の目的は関西の経済人や学生諸君にこの実態を伝えることにあると答えると、是非よろしく頼むと真剣な眼で言われた。
それでも、ほとんどの人たちは何とかこの地の高台等にでも住みたいと願う人もいるし、完全に他府県や県内の放射線量の低い所へ引っ越す人もいる。何らかの形で自立できるか、できないかが迫られる状態になっている。
石巻や仙台と違うのは、この市の「復興ビジョン」五つの理念の中に「原子力災害を克服するとともに、再生可能エネルギーの導入を推進し。原子力発電に依存しない社会を目指す復興」が掲げられていることだった。いわき市役所で聞くと、この浜通りでの避難した各町の人たちのほとんどはいわき市に避難して住みたいという。雪の降らない気候や文化が共通するからだということだった。そこで、好間(よしま)地区の仮設住宅へ向かった。工業団地として整備中の一帯を他の町からの避難者の仮設住宅地にしたという。いわき市には双葉郡の8の町村(双葉町・広野町・浪江町・葛尾村・大熊町・富岡町・川内村・楢葉町)から14383人がいわき市へ避難している。住まいは仮設住宅のほか、雇用促進住宅や民間の借り上げ住宅がある。近くにはコンビニやスーパーもあり、暮らしやすい方だがここで生きていくには(避難所と違って)自分のお金がいる。暑いので、人は外には出ていなかった。
『福島民友』というその日の紙面によれば、仮設住宅の人たちの90%が住居の目途が立たないと答えている。仮設住宅の期限は二年だが、これを数年伸ばしたところで、自立できない人たちも多いことだろう。あの日から苦悩は果てない。
地元紙が共通して評価するのは、この激変の中ではインターネットの書き込みよりも、新聞の情報は信頼できたという日本新聞協会の発表した代表標語の「上を向く力をくれた記事がある」だった。
石巻市   6月15日
JR仙台線は仙台から松島海岸駅までは開通しているが、そこから石巻までは代替バスで一時間ほどかかる。東北地方の被災地一帯の数百キロメートルでは、JRの各線が寸断され復旧のめどは立っていない(被災前とは別のどこに線路と駅を建設するかは確定できないので)。通勤も通学も大変不便な状態だった。石巻の市内ではまだ交通の信号機が復旧していないため、兵庫県警や和歌山県警から応援の警察官が交差点に立って手で指示していた。自衛隊 も一部はまだ残って作業していた。震災後の三カ月間でかなりの瓦礫は撤去され分別されていたが、これは主に自衛隊の労力によるものである。石巻市は今回の大震災で死者と行方不明者5,795人とすべての市町村で最も被害のひどかったところである。
海岸に近づくと、日本製紙(クリネックスの製品で知られる)の工場が大きく破壊され操業を停止していた。さらに海に近い、南光運輸の倉庫は建物の枠だけが残り、ほとんどが津波にさらわれていた。17メートルの津波の恐ろしさはすごいものだった。浄土真宗本願寺派の寺院は柱だけが残る状態だった。キリスト教の教会も大きく破壊されていた。途中で全焼した門脇小学校へ向かった。昔の宝塚女優の涼風真世さんやコメディアンの由利徹さんの出身校だそうだが、津波で衝突した自動車からの火災で真っ黒に焼け焦げていた。さらに、大川小学校へ向かった。児童108人中84人が死亡、教職員13人中10人が行方不明になった所だ。教職員の避難誘導が議論になっているが、傷んだ校門の標柱が哀れをさそった。民家で残っているところもあったが、どれもとても住める状態ではなかった。ただ、高台にある石巻赤十字病院が(ほとんどの医療機関が診療不能になってしまった中で)激変の中での救護所として命のとりでとして死闘を続けたことが人々に語られていた
石巻市役所(亀山紘市長)の職員の方によると、津波警報が出されて、多くの人たちは自動車で坂道に向かったがそこでの渋滞が各所で起こったため、身動きできないままで襲ってくる津波に飲み込まれていったという。背後の海から迫る大津波を見て、亡くなった人たちはどんなにか恐ろしく悲しかったことだろう。死者・行方不明者は5795人とすべての被災地の市町村で最も多い。
市役所の職員の人の話では、毎日が新しい対応を迫られる話で仕事がきついということだった。
石巻市は漫画家石ノ森章太郎でも有名で、石ノ森漫画館がある。その建物は閉鎖されているが、その外に机が置かれその上にたくさんのアルバムやランドセルが置かれていた。どれも泥と塩水に洗われていたが、震災後三カ月経っても引き取る人が少ないことが分かった。ものの哀れとはこういうことだと思った。
瓦礫は海岸沿いに大量の自動車や鉄くずなどに分けられていたが、魚の冷凍工場の異臭はまだ残っていた。被災後に車を求める人たちは中古車を買ったが価格は災害前の1.7倍だったという。大工さんの日当は3.8万円から4.8万円に上がった。
image018.jpg石巻市の津波被害地
image019.jpg門脇小学校
image020.jpg浄土真宗釈法寺
image021.jpg日本製紙工場
image022.jpgキリスト教会
image023.jpg石ノ森章太郎記念館



仙台市   6月16日
仙台港は宮城野区・多賀城市・七ヶ浜町にまたがっているが、流通の大きな港だけに、キリンビールの工場が閉鎖になったり、トヨタ自動車の輸出前の大量の新車が津波に襲われ廃車の山が築かれていたりしていた。東北石油の工場は一週間燃え続けたという。誠に痛い打撃である。
仙台市内の高校の先生と話した。先生が美術の時間に「風景画を書きましょう」と言うと、泣き出す生徒もいてそれはできなかったということだった。震災前と後の風景の変貌に辛さがこみ上げてきたのだと説明された。そして、家族ぐるみで県外へ転校する人がいると、羨ましいなという反応が多いそうだ。また、仙台市内の大学の外国人留学生は60%ほどが母国に帰国したという
三陸高速道路が一種の防波堤の役割を果たし、その海側は一帯が瓦礫とヘドロだったが、反対側の農地はさほどではなかった。海水を被った農地は作付けはされないままになっていた。
仙台市(奥山恵美子市長)の被災者に対する対応は実に綿密なものであることが分かった。「被災者支援に関する各種制度の概要」は生活支援、住まいの確保の支援、中小企業と農業への支援についての三本柱からなり、それらについて詳細にまとめられている。その内容は震災後、数度にわたって修正や追加がなされており、先の石巻市と同様に対応すべき事案が一様では済まないことからくると思われる。
復興のビジョンは宮城県庁(村井嘉浩知事)の職住分離型の宮城モデルと関連して、海沿いから砂浜・運河・盛り土をした防災林・盛り土をした幹線道路・農地・盛り土をした仙台東部道路・市街地と土地利用を区分けしている。市役所の中は国内外からの寄せ書きや千羽鶴、前へ進もうとする大人や子供たちの写真、被災状況の写真が掲示され、市民とともに歩む行政の様子がわかった。
他方、県庁はさらに立派な建物で、各市町村への行政(間接行政)に関することで市役所とは様子が異なっていた。
この目で見て、聞き取る機会を得たことは私の自覚を促すことになりました。次は、福島県に向かいます
image024.jpg仙台港のトヨタ自動車の積み出し予定だった新車
image025.jpg仙台市役所に寄せられた全国からの激励


大災害時の法律の課題
  • 原子力災害に対する自治体間の広域避難体制を確立する上で、「災害対策基本法」の充実を図る
  • 県外避難者の支援のために、「災害救助法」の適用を考える
  • 建物の全壊と大規模半壊にのみ適用されている住宅問題のために、「被災者生活再建支援法」を半壊や一部損壊にも適用する課題
  • 被災者の優先借地権を認める「優先借地権法」では再開発が難しくなるという問題がある

    ほか、「激甚災害法」
        「災害弔慰金の支給等に関する法律」
        「権利保全特別処置法」
        「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」 がある


<震災と保険>
 生命保険協会は東日本大震災の被災者向けの生命保険料支払い猶予を年内で終える方針を明らかにした。業界全体としての猶予は震災発生から約9カ月の年内いっぱいで打ち切るという。今後は生保各社が個別に検討する。 また、被災者への保険金支払いが半年で1万6773件(計約1300億円)に達したと明らかにした。まだ被災地の契約者のうち0.9%にあたる2万7千人と連絡がとれておらず、各社が安否確認を続けている 9/17
日本損害保険協会は、東日本大震災での地震保険の支払いが1兆2000億円程度に上ると
う見通しを明らかにした。阪神・淡路大震災の15倍の規模 9/17
 なお、契約者が火災保険だけに加入していた場合には、地震による火災のケースも含め、免責となり保険金の支払いはなされない。地震で発生した火災は火災保険では保障されない。なお、地震保険の保険金の請求権についての消滅時効は3年 

今こそ専門家は情報発信を –専門家は専門に生きてこそ-


<何が論点になっているのか>
① 震災と原発についての小中学生たちの素朴な疑問に答えることが大切。
② 日本の科学技術のレベルでは大震災の予知はできないのか
③ 原発事故は天災か人災か
   1)人類史上での歴史的な反省の機会ととらえるべきか否か
   2)日本のエネルギーバランスの見直しを検討することはどうなのか
   3)根本的に考えて、原発の電力はどれだけ安いのか
   4)日本が太陽光発電で、他の先進国などが原子力発電で、日本は競争に勝てるのか
   5)自然エネルギーでの発電や電力の自由化を急ぐべきかどうか
④ 情報開示というがすべてを明らかにすることでいいのか
⑤ 損害額や賠償額の算定の正確さはどうなのか
⑥ 法学者や法律家はなぜ歴史的な裁判を起こそうとしないのか
⑦ 日本の景気はどうなるのか
-不況の深化か復興需要を契機とした回復か-
-さらに円高か(原油や天然ガス輸入による)国際収支の赤字化による円安か-
⑧ 自力での再建が難しい人たちへの支援をどうするか
⑨ 震災不況下で日本の国益を前面に出して円高対策を取るべきかどうか
    -迫りくるギリシャのデフォルト(債務不履行)から世界金融危機発生への対応は-


  • 日本社会にとって深刻な事態が進む中で、さまざまな分野の人たちの意見がもっと発信されて良いのではないか。関係する研究者は震災にかかわる研究を発信すべき
  • 地震予知の研究の最先端の成果が一般の国民に理解できる形で公表されるべきであろう。
  • エネルギー問題の根本としては原発のコスト・パーフォーマンス(キロワット時当たりで原発がどれほど優位なのかと今回の原発被害のコスト)についての最新の正確な情報が明らかにされるべきだがなされていない(発表先によって異なっている)。この根拠によって、今回の被害がもたらした損失との対照でエネルギー政策の必要な転換への道を開くことになろう。

無題3.pngニュージーランド北島中央部のナアワブルア地熱発電所…帝国書院資料より


無題4.png小型水力発電設備 9/10 朝日

  • 法律家にとっては今回の原発事故が天災か人災かの議論の上に、政府と東京電力の法的責任を綿密に論証すべきことではなかろうか。この断罪はこの日本では難しいと思われるが、その場合は根拠を明らかにできるならば、歴史的な大裁判に向かうべき課題ともなろう。
  • 復興のプランは宮城県庁などで典型的になされつつあるが、経済地理学等の分野の専門家は単発的な意見を越えて今こそかかわるべきではないのか。さらに、瓦礫の撤去から仮設住宅の建設、その後の産業再建計画の進行には被災地の自治体で差が大きくなってきている。その差が生じる原因がどこにあるのかを明らかにすることは被災地の現場にとって重要である。
  • リスクマネジメントの専門家にとって、現在は研究材料の宝庫そのものである。技術的な問題にとどまらず、これにかかわる文系学者の大胆で精緻な提言が求められる。
  • 緊急時に高度な情報網が形成されていない問題から携帯電話が通じないという身近な問題まで情報学の専門家はそのアイディアや技術についてもっと発信すべきではないのか。
  • さらに、震災と原発の問題についての子供たちの素朴な疑問が教育関係の雑誌等に現れていないことである。この沈黙はなぜなのだろうか。学校の教師がこの問題の扱いに戸惑っているのではないかと懸念される。むしろ、事の本質は生徒や児童の疑問に大人たちが答えられていない所にあると思うがどうだろうか。
  • 日本の近代化が西ヨーロッパのように民衆による下からの近代化ではなかったという経緯は現状や為政者に対する批判や苦言を出しにくいという特徴を持ってきた。学者や研究者はタコつぼの中での研究に埋没しないで、正面から取り組むことが求められる。特に、行政や企業のトップはこの大災害を期に役立つ意見はくみ上げる度量が求められる。
震災と原発についての短絡や事実誤認・誤解のいくつか  -筆者が授業や講演で得た印象-


東日本大震災以来、出来るだけ公正な立場を堅持しながら学会での報告や各地での講演(市民大学・商工会・商工会議所・納税協会・メガバンク)、大学での講義・演習でこの問題を取り上げた。その中で得た感想を記しておきます。多くは事実をきちんと理解していないことと自分の性格や根本思想に影響されていることからきていると思われる

1 とらえ方の問題

  • 今回の震災・津波と原発の被害や被災地・被災者・避難を区別していないことが多い
  • 被災地に同情するが、自分たちは被害もなく良かったという安堵感・・・人間は他人との違いに目を向け早く決めつけたくなる本能があるのか。温度差の一言では片付けられない問題がある。自分より他人を先に考えることのできる人間に育ってほしいと願うのだが
  • 知らない土地の知らない人たちの中でボランティア活動にしり込みする人もいる・・・特に若い男性
  • 大学では震災と原発を考えようという姿勢は3~4人のグループ作りと知らなかった事実や情報をゼミなどで出し合うことから少しづつ生まれた。教員が持つ目標に向かって強引にひきまわすだけでは空回りになるので、少しづつ粘り強くこのテーマについて、調べたり考えたりする意欲をもたせることを心がけた。努力した学生にはいい部分を褒めることで授業を進めた。
  • その結果、いろいろな資料から次のような視点を見出すことができた

2 原発の是非についての意見

  • 「原発の安全にもっと注意すべきだ」というきびしい批判的意見をもつ人たちの中には、原発に賛成の結論と反対の結論の両方がある
  • 原発反対の人たちに多い、原発を即全廃した時の日本人の生活と日本経済の状況に考えが及ばない
  • 原発賛成の(または原発反対に嫌悪感をもつ)人たちに多い、過去の原発推進政策への反省を拒む。効率的な脱原発の推進への道を模索しない
  • 管首相さえ交代すればすべてが解決するとする短絡・・・管政権の初動の遅れは(官僚主導から政治家主導という)政権の問題と電力会社の(閉鎖的な情報管理の)問題の両方がある。
  • 原因を客観的にみない
  • 原子力以外は自然エネルギーしかないする誤解・・・火力も水力もある

3 一時的には火力発電に依存すればよいという意見 

  • 円高なので、石油や天然ガスを輸入すれば安くつくだろうという誤解。円高差益を吹き飛ばすほどの世界的な資源高。そして、石油(あと46年)や天然ガス(あと60年)の地球埋蔵量は短くなっているのに。さらに、地球の温暖化が問題なのに
  • 震災による萎縮は良くないという声があるが、これは無駄をしていいということではない・・・大切な資金を有効に活用することが求められている

4 事実誤認

  • 当初外国人に多かったが、日本全体が放射能に汚染されているという誤解
  • 現代の日本の政治の権威のなさ、原発不況、ヨーロッパとアメリカの金融危機、日本人の意欲の欠如から日本の滅亡ばかりを結論する人がいる・・・懸命に生きよう
  • とする人や企業や行政の仕事に励む人がたくさんいるというのに
  • 10の電力会社の周波数の違いを東京電力と関西電力がボスになって対立しているという意見
  • 民主党の震災・原発対策が批判されていることから、多くの原発を建設したのは民主党だとする誤解
  • 東北6県に北陸地方の県を入れてしまう間違い


岩手・宮城・福島三県の行政区分図
無題5.png

現地(6月15日16日、石巻市と仙台市)での写真
image001.jpg
image003.jpg
image005.jpg
image007.jpg
image009.jpg
image011.jpg
image013.jpg
image015.jpg
image017.jpg
image019.jpg
image021.jpg
image023.jpg
image025.jpg
image027.jpg
image029.jpg
image031.jpg
image033.jpg
image035.jpg
image037.jpg
image039.jpg
image041.jpg
image043.jpg
image045.jpg
image047.jpg
image049.jpg
image051.jpg
image053.jpg
image055.jpg
image057.jpg
image059.jpg
image061.jpg
image063.jpg
image065.jpg
image067.jpg

milk_btn_pagetop.png